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再生古地図誕生秘話―川尻地区再生古地図―

熊本市中心部の南方約8kmに位置する川尻(かわしり)地区。
近世・近代を通して貿易港・軍港として、江戸時代には年貢米の集積地としても栄え、一帯は湾港都市としての賑わいを見せていました。

そんな江戸時代からの町筋が残る川尻地区を「再生古地図」として再現。
その魅力や再生古地図にかける想いを、熊本市都市デザイン課様へ伺いました。
 


 

川尻地区再生古地図 制作のきっかけを教えてください。

本市では、平成28年に熊本地震に見舞われたことを1つの契機として、令和2年6月に、「熊本市歴史的風致維持向上計画(くまもと歴史まちづくり計画)」を策定しました。
特に、川尻地区は重点区域として位置付け、豊かな歴史文化遺産の魅力や価値を後世に継承するため、市民と協働して当該地区の認知度の向上を図り、市民や来訪者が誇りや愛着の持てる地域ブランドの構築に向けた取組みを行っています。
今回、市民や来訪者が川尻地区に関する欲しい情報をスムーズに取得できる情報発信ツールを導入したいと考えている中、古地図という新たな切り口で様々なターゲットに訴求でき、まちあるきの回遊性を高めるambula mapのご提案をコギト様から受け、制作に至りました。
 

川尻地区とはどのような歴史があるエリアなのでしょうか?

川尻地区は、熊本市中心部の南方約8kmに位置し、古くから貿易港・軍港として栄え、江戸時代には、熊本藩川尻米蔵を拠点とし、緑川や加勢川を利用して、藩の年貢米を主に大阪へと搬出していました。
また、豊かな水の恵みを活かした酒造や商工業も発展し、江戸時代のままの町筋が歴史的建造物とともに残り、河尻神宮秋季大祭や精霊流しなど、古来の形式を色濃く残す伝統行事も受け継がれています。


当時の面影を残す船着場跡

 

再生古地図制作にあたって、当時の情報はどのようにして収集されたのでしょうか?

江戸時代の天保年間に作成された「川尻町絵図」をベースに制作をお願いし、川尻地区の特徴でもある川筋については、「肥後藩絵図 緑川の絵図・加勢川の絵図」や「熊本県管轄肥後国飽田郡 野田村図・八幡村図・川尻村図」(ともに熊本県立図書館蔵)を参照しました。
また、現在の川尻公園一帯には、藩主が宿泊や休憩をする御茶屋や川尻町奉行所が置かれていたため、河尻御茶屋絵図(永青文庫蔵熊本大学附属図書館寄託)を基に建物を描いて頂きました。


川尻地区を流れる川の一つ、無田川。
無田川を利用して、米俵等を熊本城下に運んでいました。

 

完成した再生古地図をご覧になった感想をお聞かせください。
また、再生古地図をご覧になった地域の方や観光客の方の反応はいかがでしょうか?

川尻地区は江戸時代のままの町筋が残ってることは記録として知っていましたが、実際に緯度経度を調整頂き、現代地図と比較出来ることで、視覚的によく理解出来ました。
また、地域の方は湾港都市として栄えた川尻地区の歴史や景観に思い入れのある方が多く、喜んで頂くとともに、地域のボランティアによるまち案内の際にも活用頂いています。以前は「川尻町絵図」そのもので案内されていましたが、再生古地図を利用することで、地点情報を活用できることから、土地勘の無い観光客の方にも分かりやすくご好評頂いています。

 

web版の再生古地図を片手に、ぜひ訪れてほしいおすすめスポットを教えてください!

熊本藩川尻米蔵の前を通る江戸時代の本通りの愛称を「川尻蔵前通り」と地域で決定されました。現在も酒造元や蔵などの歴史的建造物が残る地域のシンボル的な通りですので、この通りを中心に散策するのがおすすめです。
また、令和5年(2023年)10月から史跡である熊本藩川尻米蔵が保存修復工事を終え一般公開されています。再生古地図の「外城蔵」にあたる蔵となりますので、往時の姿と比較することも楽しいです。
今回、歴史的なスポットに加え、地域にご協力頂きお店の情報も掲載しています。特に川尻地区には「開懐世利六菓匠(かわせりろっかしょう)」という6軒の和菓子屋さんが、和菓子と町おこしを結び付けた活動を行っていらっしゃいます。食べ歩きやお土産にもおすすめです。


川尻蔵前通り


熊本藩川尻米蔵

 

最後に、今後のご活用について展望をお聞かせください。

ambula mapの魅力の1つとして、市民や来訪者が地域に関する欲しい情報をスムーズに取得でき、来訪前後を通して長い期間楽しんで頂ける点が挙げられると思います。
今回、歴史的建造物の内外を撮影したVR動画のリンクも地点情報に付けておりますので、川尻地区のまちあるきの予習・復習でご活用いただけると嬉しいです。
また、来訪者だけでなく、地元の子どもたちが、自分達のまちの魅力を知り、まちの良さを未来へ継承していけるよう、出前授業等を通じた取り組みも行っていきたいと考えています。
 
 

【 リンク集 】

 
くまもと歴まち360°
いつでもどこでも自由な視点でくまもとの城下町巡りが出来る360°VR動画サイト
https://rekimachi360.com/
 
くまもと歴まち.com
熊本市では、歴史まちづくりを推進しています。
https://rekimachi.com/
 
熊本都市デザイン課公式Instagram
@kumamotocity_urban_design


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