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丸岡城下町マップ誕生秘話

今年が丸岡藩誕生400年の年である丸岡城の城下町エリアで、この度素敵なイラストマップを制作されました。
パンフレットやネットの観光情報には載っていないニッチな情報が満載のこちらのマップは、ワークショップを通じて、坂井市に関わるたくさんの方の想いや声をカタチにされました。
今回はこのワークショップや坂井市のシビックプライド醸成の取り組みについて、ご担当の坂井市 髙嶋様に座談会形式でお話をうかがいました。
 
福井県坂井市 総合政策部 企画政策課 髙嶋様  ×  コギト 営業部 上野   ×   コギト 制作担当 野村
                
 
髙嶋さん、今日はよろしくお願いします。早速お話をお伺いしていきたいと思います。
今回ワークショップでイラストマップを制作するに至った経緯を教えていただけますか?

坂井市には、全国唯一の取り組みである「寄附市民参画制度」というものがあるんですよ。言葉だけ聞くと難しそうでわからないですよね。
この制度は、寄附を通じて市民に誇りをもって市政に参加してもらうための制度なんです。
ふるさと納税をしたことがある方には馴染みがあると思いますが、寄附するときに自分で寄附金の使い道を選びますよね。例えば、「教育・子育て支援のため」とか「林業水産業、商工業等の振興のため」とか。ざっくりとした分野ごとの選択が多い中で、坂井市はクラウドファンディングのような使い道になっているんですよ。「三国港にぎわい朝市の開催」や「世界中でONLYONE!坂井市にしかできない国際ディスクゴルフ大会開催」と使い道が明確に事業化されています。自分たちの税金がどう使われているかって普通詳しくわからないですよね?自分の税金が共感した事業に使われるって良くないですか?
寄附市民参画制度はふるさと納税制度が創設された平成20年にできました。市民から事業提案を募り、市民代表、議会代表、市職員代表で構成される会議で事業化するかを決める、まさに市民の意思を取り入れている制度なんです。坂井市に集まった寄附金は、この検討委員会で決まった事業にしか使えないと条例にも謳っているんですよ。
寄附市民参画制度とは?

その方法は画期的ですよね。

寄附金を預かる者の使命は、寄附金をどのように市民に還元し、市民の笑顔を増やせるか、です!寄附市民参画条例が施行されていることで、坂井市は市民の想いを形にできる一歩を踏み出せていると実感しています。
坂井市には、「丸岡城天守を国宝にする市民の会」という団体がありまして(以降、市民の会)、その団体が「丸岡城周辺賑わいのまちづくりビジョン」という壮大な構想を掲げていたんです。その実現に向けて、ブラッシュアップをどう進めるかという課題がありました。そんな中、大きな力になってくれたのが、ふるさと納税の返礼品がない代わりに丸岡城の価値を高めるための市政に物申しができる「百口城主」。様々なお城や歴史を知るお城ファンに、知見を生かして丸岡城国宝化に向けた具体的な事業に関わってもらいました。市民の会、百口城主がともにワークショップを重ねてきたわけですが、「丸岡城の未来」を考えていくならば若者の視点も必須ということで、地元・丸岡高等学校(以下、丸岡高校)の生徒も参加してもらいました。
今回制作したイラストマップも、ワークショップの中で「まち歩きマップがあるといいよね」という提案があり、実は令和元年度の寄附市民参画制度で採択されました。いざ具現化!というタイミングで、丸岡城周辺整備基本計画の策定に向けて動き出したため、丸岡城下が大きく変わってしまうという懸念から事業が一部ストップしてしまいました。それでも、定期的に開催されるワークショップの中で、たとえまちが大きく変わったとしても、観光客が来ないわけではないから作ればいいじゃん。どんどん更新していけば良いじゃん。という話になり、まち歩きマップは令和5年度に動き出して、イラストマップが無事生まれたわけです!
百口城主とは?

坂井市内の別エリアでもイラストマップ制作のお話があるとお伺いしましたが、こちらも寄附市民参画事業で提案されたものですか?

そうです。市民提案されて採択されたものです。
個人的には、各地区で今回のようなイラストマップを作成する輪が広がっていってほしいですね。このambula mapは、レイヤーをかけることが可能なので、観光だけではなく、防災や子育てなど、それぞれのターゲットに特化したマップを作ることができるので、可能性が無限に広がります!

地震もありましたからね。

元日に起こった「令和6年能登半島地震」により、市民の防災に対する意識も高まっています。坂井市も海に面したまちなので、津波の影響も他人事ではありません。明日は我が身、日々の備えは大事だと思います。常に危機感を持ってもらうことは良いことですしね。

他の地域がやりたいと思っていることもこれで実現できる可能性はあるかもしれないですね。
地域ごとに「ワークショップやろうよ!」「マップ作ろうよ!」と繋がっていくといいですね。

まち歩きマップを今回作っていく過程で、改めて自分の住んでいるまちを見つめ直すことになるので、新たな気付きがあるなと感じたんですよね。
私も入庁してから10年ほど何らかの形で丸岡城に関わってきていたので、結構詳しい方だと自負していたのですが、全然知らないことが多くてそれが粉々になりました!(笑)「こんなところに銅像が!」「ここのお店のオススメってこれだったのか!」「え、これ石碑なの!?」っていう新しい発見の連続でしたね。なので、この「気付き」を地域の方にも体感してもらいたいなって思いました。自分のまちを深く知るということが、シビックプライドの醸成にも繋がっていくと思うので、ぜひ、いろんなまちでチャレンジしてもらいたいです。

お話を聞いていると市役所の方だけでなくてそもそも地域の方の地元愛が強いと感じるのですが…

たしかに!坂井市は平成18年に4つの町が合併してできたまちですが、そのなかでも「三国町」や「丸岡町」は伝統や歴史文化を大事にして、地域愛が強い人が多いなという印象です。市役所に入庁してから「伝統や祭りで繋がる地域愛」みたいなものを感じましたし、そういう繋がりってとても大切だと思います。繋がりが深いまちは共助の力が強いんですよね。災害などが起こった時にもとても心強く思います。
今回のイラストマップでは、地元愛にあふれた地域住民の声をそのまま反映させていることもあり、実際にまちの人に案内されているかのような疑似体験ができる出来栄えです。本当は現地に来てほしいですが、来ることが難しい人でもこのマップを見るだけで地域のことがわかります。そして、地域住民並みに詳しくなるマップを作るためにはやっぱり作る側ももっともっと地元に詳しくないと作れないので、win-winの効果なのかなって思いますね。

その効果を知っている我々からすると、できたらこういった取り組みをするとこんな効果があるよっていうことをよりたくさんの地域の方に知ってもらいたいって思いますね。

私が今回このマップ制作に携わって感じたように、地域の方や高校生にもそれぞれに気付きがあったと思います。この経験は参加者自身のためにもなりますし、まちへの愛着にも繋がっていくと確信しています。

今回のワークショップだと百口城主、丸岡高校の生徒、地元の方で実施されたということでしたが、それぞれどういった方がいらっしゃるんですか?

百口城主は約40名の登録者がいて、そのうちの数名がワークショップに参加してくださいます。お城や歴史等詳しい方が本当にたくさんいて、お話ししていると得るものが多いです。城主の皆さんは、単にお城が好きだからワークショップに参加しているのではなくて、「地域の人と繋がりたい」「実際に住んでいる人だけが知る情報を得たい」という方が多いんです。丸岡高校の生徒も丸岡城や歴史に興味がある生徒が参加してくれています。地元の方は、市民の会以外にも、丸岡城下周辺に住んでいる住民の方やお店の経営者も参加してくれました。

丸岡高校の学生は、今回のワークショップ以外ではどんな取り組みに参加されてるのですか?

寄附市民参画制度の事業で「甲冑のまち 丸岡」を目指して甲冑を100領つくる事業があったのですが、高校生たちも一緒に作ったり、市民の会で運営するcafeで提供するお菓子の商品開発に携わったり、地域イベントでボランティアスタッフとして活動したりと多岐にわたっています。地域に入っていきたいという積極的な生徒が多い印象です。

去年のお城EXPOでも丸岡高校の学生がブースのお手伝いに来てくれていましたもんね。
その時に声をかけたんですが、みんなやらされた感がないんですよね。「すごいね~、えらいね」と言っても「地元のためになるなら!」と。

そうなんですよ!「全然偉くないです」「普通ですよ」と言われたときは、頭が下がる思いでしたね。

こういう子たちが将来の地域を支えていてくれると思うと心強いですよね。

ほんと、将来が楽しみです。地域の大人たちと積極的に交流していて、私が高校生の時とは全然違います。(笑)地域との接点が増えるほどに地元への愛着がわいてくると思うので、若者には実際に地域に入ってもらうような機会を作っていきたいですね。

若い人達が転出していくという状況にお悩みの自治体さんに高嶋さんがアドバイスするとしたら、どんなことがありますか?

失敗や成功体験をどんどんさせてあげてほしいなと思います。先行き不透明で予測困難な社会に飛び込んでいく若者たちには、正解のない問題に向き合い探究できる力が求められます。行政として、若いうちから実社会の中で様々な人と関わりながら自分の意見を具現化し、問題を解決していく力を養うことができる環境を整えることが必要だと思います。若者たちは、「できない」のではなく、「知らない」だけ。一緒に伴走しながら、ふるさとを舞台にして地域の大人と一緒に何かを作り上げていく経験をさせてあげたいですよね。まちづくりや地域づくりと聞くと「なんか面倒くさいな~堅苦しいな~」と思われがちですが、いかに軽い気持ちで地域に入っていけるようにするかがポイントだと思っています。そして、地域に出て大人と関わることで、例えばその子が県外に出て行ったとしても、戻ってきたときに「おっ!帰ってきたのか!」と声をかけてくれる大人ができると、自分の居場所として再認識してもらえるのではないでしょうか。

まちづくりに参加しよう!という大きなくくりにしてしまうと、話も大きくて遠慮してしまいそうですが、ちょっとしたボランティアやお手伝いとか、そういった積み重ねが最終的に「あ、これがまちづくりってことなんだ」って気づけると、スッと入っていけるんでしょうね。

大それたことじゃなくても、「あ!あの時のゴミ拾いやお手伝いってまちづくりの一環だったんだ!」って知ってもらいたい。「実際参加してみたら案外楽しい」「面倒だったけど、一緒に参加していた大人から褒められた!こんなこと知れた!」とか気付きや得るものって結構あると思うんですよね!

高校生以外に中学生との交流もありますか?

中学生との交流も深めていけるといいですよね。高校生になると大体の自分の進路って決まっていたりしますよね。なので、中学生のうちからそういう機会を作れると市外への流出することを減少できるのかなと。
一方で、福井県内には大学が多くあるわけではないので、若者が学びたい分野の大学がないと県外へと転出してしまうのは仕方ないかなと思います。でも、「やっぱり地元って最高だな」とか「また、あの人と世間話したいな」とか思っていてほしい。一度転出しても、結婚、出産、子育てなどの人生の転機で地元に戻るという選択肢を持ってもらえると嬉しいですね。

お話をお伺いしていると、坂井市さん自体が「まちづくり」をいい意味で軽くてソフトに捉えてらっしゃる気がします。髙嶋さんの親しみやすいお人柄も子供たちがついてきてくれるポイントですね。

私もやっていて楽しいです。私自身、学生時代は「地元って何もないし、ださいし、つまらない」と大学進学を機に離れてしまったんですよね。ですが、大学の友人やアルバイト先で地元の話をした際に、あまりの知名度の低さにびっくりしました。ちょっと悔しくて、自ずと地元のPRをする機会も多くなり、地元愛が勝手に深まっていった感じです。そして深くなりすぎた結果、就職を機に戻ってきたという感じです。
仕事で地域に入っていくことも多く(特に丸岡町)、市民の会の人たちには困ったときにすごく助けていただいています。「あの人に相談すれば助けてくれるかも!」と、困ったときに頼れる人がたくさんいるということは良いですよね。「人は一番の財産」。子供たちにも、そんな相手が増えればと、地域の大人と関係性が作れるように間に入ってサポートしています。応援してくれる大人をたくさん知っていると高校生の活動の幅も広がりますもんね。

やっぱりそういう関係性だからこそ、今回のワークショップでも意見がどんどん出てきていいマップが完成したんですね。

ワークショップの中では、意見がぶつかることが何度もありました。
「情報が溢れすぎている」「目的からずれてる」「最終どうしたいかわからない」など、厳しい意見も飛び交いました。みんながこのマップをよいものにしようと熱い想いで臨んでいるからこその光景でしたね。この参加者それぞれの思いを汲むために四苦八苦しました。だからこそ、みんなの思いがぎゅっと詰め込まれたものができた!というやり切った思いです。
高校生たちも、自分たちの意見をちゃんと言ってくれました。大人が本気で取り組んでいるのを目の当たりにして、やっぱり自分たちも本気で返さなきゃという思いだったようです。「大人ってこんなこと考えているんだなって思った」と高校生から言われたときは、そう感じてもらえたの嬉しいな~とじんときました。

完成したマップを見て皆さんの反応はどうでしたか?

百口城主の方は、「歴史好きにも刺さるコンテンツがしっかり詰め込まれていてすごくいい!」「自分たちの声もしっかりと反映されていてありがたい!」。そしてなんといっても市民の方々と一緒に作り上げられたことが良かったと満足してもらえましたね。
高校生は、手渡した瞬間「きゃ~!めちゃ可愛い!」って反応で(笑)そのリアクションを見た時、心の中でガッツポーズしました。ワークショップの時に高校生が「紙マップって全く利用しません」って言っていたにもかかわらず、「このマップ、更新できますか?」「イベントでフォトスポットを探していいですか?」って提案してくれたので、相乗効果が生まれているなと感じました。

成果物だけじゃなくて皆さんの心の中に達成感が残っているのが何よりの成果ですね。

ですね!本当に素敵な機会を頂けました。今後もイベントなどでこのイラストマップを活用していき、どんどん情報を更新していきたいです。ambula mapに編集機能があってよかったです(笑)

今後の展望は?

このマップは、関わってくれた人たちのおかげでとても良いものに仕上がりました。今後は、高校生と一緒に中身のブラッシュアップを進めていきたいと考えています。高校生自身がフォトスポット探しなど頑張ってくれているので、そのサポートをしたいと思っています。地域をもっと知ることができる今回のような経験をより多くの方に体験してもらいたいと思っているので…
そして、ほかの地区でも今回のような和と輪が広がっていくと嬉しいなと思っています。

ありがとうございました。坂井市の愛が詰まった「丸岡城下町マップ」がたくさんの方の目に届くように願っております。

今年が丸岡藩誕生400年の年である丸岡城。誕生400年を記念して様々なイベントが開催されています。令和6年10月12日(土)、13日(日)には「出張!お城EXPOin坂井・丸岡城」が開催予定です。この記念すべき年に、皆さんもぜひ坂井市を訪れてみてくださいね。
丸岡城下町マップはambula mapにも掲載中です。下記からぜひご覧ください!

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